大学院試験を終えて

 院試で不安な中、合格した方の合格体験記を読んで気持ちを整えたりしたので、今回は院試で体験したことや後輩に参考になるようなことをかければいいなと思います。

 

 まず、私がどういう人なのか少し述べておきます。私は関西の私立の大学の数学科に通っていました。そこで勉強する中でトポロジー、特に代数的トポロジーに興味を持ちました。また、圏論にも興味があり、自分のやりたい研究に適している環境が他大学にあるということや経済面のこともあり、外部受験をすることを決意しました。そして勉強を重ね、九州大学大学院と信州大学大学院に合格しました。

 

 次に院試勉強を少し振り返ってみようと思います。あまり正確に覚えてないのですが、院試勉強に本腰を入れたのは4回生の4月からだったと思います。その前も線型代数微分積分の復習をしてましたが、4月から本格的に院試ゼミをたて、毎週過去問を発表していました。とても優秀な先輩に指導して頂き、院試の対策はもちろん、たくさんの知識を得ることができました。過去問は10年分基礎と専門を解きました。信州大学は面接のみだったためほとんど九州の勉強しかしていませんでした。信州大学の院試のことを少し述べると、レポートを提出し、10分間自己アピールをするという形式の院試でした。今年は新型コロナウイルスの影響によりオンラインで行われることになりました。例年では黒板を使うようですが私はBeamerでスライドを作り、ipadを使って発表しました。こちらのことはあまり述べられないので、九州大学のことを書いていこうと思います。

 

 九州大学は基礎が線型代数2問微分積分2問の4問、専門は代数、幾何、解析等の11問から2問選択する形式でした。問題を見るかぎり私が勉強すべきは微分積分線型代数だと感じ、勉強を始めました。専門も少し勉強しましたが4月の時点で大体どの年の過去問でも時間に余裕を持って完答できていたので、運が悪く自分が解けない問題ばっかりが出た時を考え、群、環、体、微分幾何、位相幾何、微分方程式複素解析を勉強しておき、これだけしておけば2問は完答できるだろうという風にしておきました。関数解析、測度論、確率論、プログラミングは勉強しませんでした。位相幾何と微分幾何を解くつもりでしたが本番では群と環を解きました。予定とは異なりましたが、本番完答できたのでよかったかなと思います。

 

 さて、問題の基礎のお話を述べていきます。私は1、2回生の時に線型代数を割としっかりしていたり、力学系の基本的な勉強などのおかげで線型代数は割と覚えていたので、特に問題だったのは微分積分でした。微分積分は本当に何も覚えてないに等しく、1、2回生で真面目に勉強しておけばよかったなぁという気持ちでいっぱいでした。まぁでも過ぎたことはどうしようもなく、勉強するしかなかったので頑張って復習しました。微分積分の本を読み直したり、演習書の問題を解いたりしました。結果本番は大体問題は解けたのですが計算ミスなどもあり、6、7割くらいしか解けてなかったと思います。

 

 基礎の試験が始まった瞬間に問題を全部見て、大問4が極値を求め、領域内の最大値と最小値を求める問題だって、解き方がパッと浮かんだのでそこから手をつけ始めたのですが、焦り過ぎて臨界点は実数の範囲で出せばいいのに複素数の範囲で求めて20分ほど時間を無駄にしてしまいました。焦って他の問題に取り掛かりました。大問1は4次正方行列やn次正方行列を使う問題で計算が複雑だったので飛ばし、大問2の線型代数に取り掛かりました。大問2は基本的な問題だったのですぐに解答が浮かび頭の中の解答を書き起こしている間に精神を落ち着け、次にどの問題に取り掛かるか考えていました。試験が終わった後、大問2の表現行列で計算ミスをしていることに気付いたのでもう少し集中して解くべきだったかなと思います。大問3は連続性や一様連続性の問題で良い誘導問題でした。

 

 結果基礎6、7割で専門完答だったので微妙だけどまぁ合格してもおかしくないなくらいな気持ちでした。筆記試験を終え、次の日の口頭試問の対策ですが、私はほとんど口頭試問の対策をしてなく、とりあえず志望動機を考えてまとめておいたくらいでした。筆記が終わった後一緒に九州大学を受験した友人とご飯に行き、色々話しました。私の大学からはまず外部受験する人が数人しかいなかったので初めてお会いした方でしたがとても心強かったです。その方や他に九州大学を受験している方や先輩に助けてもらいながら筆記の解き直しをし口頭試問に臨みました。

 

 口頭試問の部屋に案内してくれる人が部屋を間違えて別の部屋に案内され本当に信じられず、不合格になったらぶん殴って一生恨むと思ってました。まぁそんなこともあり口頭試問が始まりました。口頭試問では筆記試験の出来について聞かれ、解き直しをしました。また、これから研究したいことについて少し話しました。緊張してましたが終わってしまえばあっけなかったなぁという感想です。

 

 合格発表までは少しドキドキしてましたが幸いにもどちらも合格していました。

 

 ここでは述べられないほど大変でしたが本当にたくさんの方に支えられ院試という大きな大きな壁を乗り越えられたと思います。特に今年は新型コロナウイルスの影響でとても大変でした。本当に色々な方に感謝でいっぱいです。

 

 最後にお世話になった本をあげていこうと思います。

 

 計算力をつける微分積分(神永 正博、藤田 育嗣)

九州大学の友人に使っている教科書を聞いたらこれを使っているらしいので読んだがほとんど身についている内容で別に読んだ意味はそんなになかったかなと思います。

 

 微分積分学講義(野村 隆昭)

九州大学の院に合格した方が読んでいた本なので読んでみました。丸2日ほどかけ読み通しました。級数のことはほとんど書いてない代わりにガンマ関数などに詳しかったです。また収束の速度などにも詳しく面白い本でした。演習問題も適度に解きましたが良い難易度でした。

 

 大学院への数学 微分積分編(本田 龍央、五十嵐 貫他)

一週間ほどかけてほとんどの演習問題を解きました。私は微分積分の演習書はこの本が1番だと思います。問題と解答の後に背景などが書いてあったり、後ろに基本的な公式がまとめられていたり、誘導が良い問題が多く解いてて楽しい本でした。誤植が少しあるのでそこは少し注意が必要です。

 

 マセマ微分積分(馬場敬之)

これと演習も使いました。丸2日かけて2冊読みました。基本的な問題しかないですがばかにならないと思います。

 

 線型代数や専門はてきとーに勉強していました。九州大学の10年分の解答と今年の問題の解答は一応作ってあるのでツイッター(@cosmos8128)などで連絡を頂ければ共有します。

 

 これから院生生活が楽しみです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!