数学ガール ポアンカレ予想を読んで

 今回は数学ガール ポアンカレ予想を読んだので簡単なあらすじ紹介と感想を記事にしようと思います。買ったのは発売日辺りだったのですが、忙しくて読み終わったのは今になってしまいました。

 

 まず、各章のあらすじを簡単にまとめておきます。

 

第1章

 ケーニヒスベルクの橋渡りという一筆書きの分かりやすい問題から自然にグラフ理論に入門しています。

 

第2章

 メビウスの帯の説明から始まり向き付け可能性に関する閉曲面の分類が説明されます。

円盤を除いた球面やハンドルやメビウスの帯素数みたいというテトラちゃんの発想はとても面白いと思いました。

 

第3章

 三角形の合同や相似から同相の概念を導入して、距離から位相に一般化し同相を定義します。

位相不変量のところで1章で出てきたケーニヒスベルクの橋の話に繋がりもあり伏線が回収されます。

 

4章

 飛行機の経路という現実的な話題から始まって、平面上以外の三角形の例として球面上の三角形を例に挙げて、そこでは3つの角度を決めると三角形が決まってしまうため相似と合同の区別がない事が説明されます。また、ピタゴラスの定理をずらすという発想でポアンカレ円板モデルと上半平面モデルを用いて双曲幾何学の説明がされて、リーマン幾何学へと話が進みます。

 

5章

 サイコロを例に挙げて簡単な話題から多様体の話を少しして、3次元サイコロからアナロジーとして3次元9面の構成(セル分割)の話をしてポアンカレ予想の話題に繋がります。

 

6章

 回転行列の集合の性質から群の公理を説明して、位相不変量の簡単な説明から基本群の話に進みます。そして具体的な基本群の計算例を見てS^2とS^3の基本群がどちらも自明で区別できないことから高次のホモトピー群へと話が進むそしてついにポアンカレ予想の正確な主張が述べられます。

 

7章

 方程式と比べながら微分方程式を導入して、変数分離法等の解き方を説明した後、バネの振動やニュートンの冷却法則わ放射性物質の崩壊などの物理の話に繋がります。

 

8章

 球面三角形の面積の公式を球面を円を使って分割することで示して、ガウス曲率の話に繋がり、実はガウス曲率は内在的だという驚異の定理が述べられます。

 

9章

 三角関数の復習として加法定理を回転行列の積から導いたりし、具体的な計算である模試問題を解いた後実はフーリエ級数展開が背景だと説明されます。マクローリン展開で十分では?という疑問からバーゼル問題の話がされます。

パラメータを持つ定積分の問題の背景がフーリエ級数展開が背景だと見抜くミルカさんに関心しました。(私は気付けませんでした)

 

10章

 ポアンカレ予想の正確な主張と歴史的背景をわかりやすく説明され、ハミルトンのリッチフロー方程式の単純化された類似物としてフーリエの熱方程式の話がされます。

 

 

 

 題材は本格的な数学でそこに到達するまであまり数学に慣れていなくても大丈夫なように様々な数学が導入されていくのは数学ガールのシリーズどれにも言えますが本当に素晴らしいと思います。私は多少数学を知っているのでさらさらと読んでますが、高校生とかはどのように読んでいるのか少し気になったりします。数学の部分はもちろんですが、今回は受験前という事で主人公の気持ちが揺れているところなど小説としても楽しめました。また、今回は数学だけでなく物理の話題も豊富に扱っているため物理を学んでいる人にもぜひ読んでみてほしいと思いました。

 

 

 久しぶりのブログ更新になりましたがこれからも不定期にちょこちょこと更新していければと思います。