Algebraic Topology(Hatcher)を読んで
私は卒業研究のゼミで1年間かけてHatcherのAlgebraic Topologyを読んだので思ったことをまとめようと思います。
この本はChapterが4つとAppendixからなります。そのため、1年で全部は読めず、私はAppendixのTopology of Cell ComplexesとChapter 4の4.1と4.3とAdditional Topicsの4.Eを読みました。
まず、AppendixのTopology of Cell Complexesを途中まで読みました。
ここではCW複体の定義から始まり、その位相的な性質が書いてあります。
具体的にはまず、構成的なCW複体の定義を紹介した後にWhiteheadの定義と同値であることを示しています。
その後、分離公理と積について書いてあります。
分離公理のところではCW複体の近傍の説明が丁寧に書いてあり、CW複体の積のところでは積が上手くいかない例が挙げられています。
その後、ENRと位相空間のホモトピー型について書いてあります。しかし、ここはあまり詳しく読まずChapter 4の4.1にいってしまいました。
次に、Chapter 4の4.1を読みました。
ここでは、ホモトピー群とWhiteheadの定理と胞体近似定理とCW近似について書いてあります。
ホモトピー群の説明は図が書いてあり、わかりやすく書いてあります。
Whiteheadの定理では胞体近似定理を使うのではなくcompression lemmaを用いて証明しています。
胞体近似定理では補題に図が書いてありわかりやすくなっています。
CW近似では丁寧に説明してあり、Postnikov TowersやWhitehead Towersについても書いてあります。
次に、Chapter 4の4.3を読みました。
ここではコホモロジー群とホモトピーの関係について書いてあります。
具体的な主定理としてはG係数のn次コホモロジー群と(G,n)型のEilenberg-MacLane空間への基点を保つ連続写像のホモトピー類の群と同型だというものです。この定理を示すために、Eilenberg-MacLane spectrum(もっと一般的にΩ-spectrum)が基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論を定めることを示しています。そのためにここではループ空間をとる関手と簡約懸垂をとる関手の随伴をはじめとしたΩ-spectrumの観察から書かれており、とてもわかりやすくなっています。
Ω-spectrumが基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論を定めることの証明の議論はわかりやすいのですが、代数構造を持たない集合での完全列などの議論がされており、少し混乱するところもあるかと思います。
この先にはファイブレーションやPostnikov TowerやObstruction Theoryについて書いてありますが詳しく読まず、Additional Topicsの4.Eにいってしまいました。
最後に、Additional Topicsの4.Eを読みました。
ここでは、Brown representability theoremについて書いてあります。
4.3でΩ-spectrumが基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論を定めることを示しましたが、逆に基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論がΩ-spectrumにより表現できるというのがBrown representability theoremの主張です。
Mayer-Vietoris公理から丁寧に説明してあり、補題を示して主定理を示しています。
補題の証明がほとんどですがわかりやすく書いてあります。
卒業研究ゼミということで研究という言葉が入ってますが、勉強しかできなかったのが少し情けなかったなぁとは思います。しかし、一人ではここまで勉強を進めることが出来なかったと思うので指導して頂いた先生方にはとても感謝しています。これを直接使う研究をこれからするかはわかりませんが経験などこれらを生かしてこれから研究していこうと思います。
3月15日の講演の参加登録は以下からどうぞ(私の講演はBrown representability theoremについて話します)