ファイバー束とホモトピー非公式誤植表

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 今回は玉木先生のファイバー束とホモトピーの非公式の誤植表を作ったので記事にしようと思います。

 

 1年ほど前からゼミを始めたのですがだいぶ読み進めることができ、結構誤植があったので誤植表を作りました。

4章あたりまでしか書いてないので他にもあればご連絡いただけると嬉しいです。

とても面白い本なので是非たくさんの人に読んでほしいです。

十角館の殺人を読んで

 今回は十角館の殺人を読んだので簡単なあらすじ紹介と感想を記事にしようと思います。

この本は綾辻行人さんの館シリーズの最初の作品です。1行で全てがひっくり返されるどんでん返しを楽しめる作品でした。

 

 

 ネタバレをしない程度に簡単にあらすじと感想を述べようと思います。

 

 この本はミステリ研のあだ名で呼び合う7人(ポウ、カー、エラリイ、ヴァン、アガサ、オルツィ、ルルウなど推理作家にちなんだあだ名でした)が十角館という館がある角島を訪れ、そこで次々と殺人事件が起こり、この7人の中に犯人がいるのかそれとも外部の犯行かと推理が始まります。十角館という名の通り十角形の館で飲み物のカップも十角形になっていてこれも事件に関係してきます。

角島には青屋敷という屋敷があり、そこでは半年ほど前に十角館を建てた中村青司を含む4人が焼死している。この事件には亡くなった中村青司の妻の左手がなくなっていたり、1人の遺体が見つかっていなかったりと謎が多い。

この事件を本土で調べるミステリ研の2人と十角館での7人の視点が交互に書かれています。

中村青司の事件と十角館の事件がどのように関係していくのか是非読んでほしいです。そして、ある1行を読んでひっくり返ってほしいです。新装改訂版ではページをめくるとその1行のみのページがあって鳥肌が立ちました。

 

 漫画も現在3巻まで出ていて本土側の江南が女になっていてほえぇと思いました。館シリーズは他にもたくさん出ているので時間があるときに読んでいきたいと思いました。

大正浪漫を読んで

 今回は大正浪漫を読んだので簡単なあらすじ紹介と感想を記事にしようと思います。

この本はYOASOBIの大正浪漫という曲の原作小説です。音楽を楽しんで、MVを楽しんで、原作小説を楽しんでと何度も楽しめました。また、原作小説を読んだ後だと曲も最初にきいた時とは違った感じにきこえてきます。

 

 

 ネタバレしない程度に簡単にあらすじと感想を述べようと思います。

 

 この本は2023年の時翔という男の子視点の第1章と100年前の大正12年の千代子という女の子の視点の第2章と2023年の美月とその弓道の師匠の視点の第3章からなっています。

 

 時翔の元に突然現れた100年前からの手紙から千代子とのやり取りが始まり、最初はお互い本当に100年離れているのか信じられなかったが、やり取りを繰り返すうちに段々とお互いに惹かれ合い、恋心を抱いていきます。

時翔は社会の勉強が苦手だったが、ニュースで大正でのある大きな事件から100年だという言葉をきき、祈りながら手紙を出す。しかし、そこから返信はなく、何度も何度も手紙を出そうとするが届かなかった。

ここまでは時翔目線だが、第2章では、この真相が千代子目線で書かれている。そして、第3章では美月とその弓道の師匠によって繋がる。何故美月とその弓道の師匠なのか?と思うかもしれないですが、是非読んで確認して頂きたいです。

 

 手紙でしかやり取りができず、また、100年を超えたやり取りなんて誰にも信じてもらえないと思い、お互い1人で考えて手紙を書くのをそれぞれの視点で読むことができ、さらに、それがとても良い形で繋がり、感動しました。本当は全部書いて語り明かしたいところですが楽しみを奪ってしまうのは嫌なので是非是非読んで頂きたいです。そして曲も聴いて何度も楽しんでほしいです。

数学ガール ポアンカレ予想を読んで

 今回は数学ガール ポアンカレ予想を読んだので簡単なあらすじ紹介と感想を記事にしようと思います。買ったのは発売日辺りだったのですが、忙しくて読み終わったのは今になってしまいました。

 

 まず、各章のあらすじを簡単にまとめておきます。

 

第1章

 ケーニヒスベルクの橋渡りという一筆書きの分かりやすい問題から自然にグラフ理論に入門しています。

 

第2章

 メビウスの帯の説明から始まり向き付け可能性に関する閉曲面の分類が説明されます。

円盤を除いた球面やハンドルやメビウスの帯素数みたいというテトラちゃんの発想はとても面白いと思いました。

 

第3章

 三角形の合同や相似から同相の概念を導入して、距離から位相に一般化し同相を定義します。

位相不変量のところで1章で出てきたケーニヒスベルクの橋の話に繋がりもあり伏線が回収されます。

 

4章

 飛行機の経路という現実的な話題から始まって、平面上以外の三角形の例として球面上の三角形を例に挙げて、そこでは3つの角度を決めると三角形が決まってしまうため相似と合同の区別がない事が説明されます。また、ピタゴラスの定理をずらすという発想でポアンカレ円板モデルと上半平面モデルを用いて双曲幾何学の説明がされて、リーマン幾何学へと話が進みます。

 

5章

 サイコロを例に挙げて簡単な話題から多様体の話を少しして、3次元サイコロからアナロジーとして3次元9面の構成(セル分割)の話をしてポアンカレ予想の話題に繋がります。

 

6章

 回転行列の集合の性質から群の公理を説明して、位相不変量の簡単な説明から基本群の話に進みます。そして具体的な基本群の計算例を見てS^2とS^3の基本群がどちらも自明で区別できないことから高次のホモトピー群へと話が進むそしてついにポアンカレ予想の正確な主張が述べられます。

 

7章

 方程式と比べながら微分方程式を導入して、変数分離法等の解き方を説明した後、バネの振動やニュートンの冷却法則わ放射性物質の崩壊などの物理の話に繋がります。

 

8章

 球面三角形の面積の公式を球面を円を使って分割することで示して、ガウス曲率の話に繋がり、実はガウス曲率は内在的だという驚異の定理が述べられます。

 

9章

 三角関数の復習として加法定理を回転行列の積から導いたりし、具体的な計算である模試問題を解いた後実はフーリエ級数展開が背景だと説明されます。マクローリン展開で十分では?という疑問からバーゼル問題の話がされます。

パラメータを持つ定積分の問題の背景がフーリエ級数展開が背景だと見抜くミルカさんに関心しました。(私は気付けませんでした)

 

10章

 ポアンカレ予想の正確な主張と歴史的背景をわかりやすく説明され、ハミルトンのリッチフロー方程式の単純化された類似物としてフーリエの熱方程式の話がされます。

 

 

 

 題材は本格的な数学でそこに到達するまであまり数学に慣れていなくても大丈夫なように様々な数学が導入されていくのは数学ガールのシリーズどれにも言えますが本当に素晴らしいと思います。私は多少数学を知っているのでさらさらと読んでますが、高校生とかはどのように読んでいるのか少し気になったりします。数学の部分はもちろんですが、今回は受験前という事で主人公の気持ちが揺れているところなど小説としても楽しめました。また、今回は数学だけでなく物理の話題も豊富に扱っているため物理を学んでいる人にもぜひ読んでみてほしいと思いました。

 

 

 久しぶりのブログ更新になりましたがこれからも不定期にちょこちょこと更新していければと思います。

Brown representability theorem(すうがく徒のつどい@オンラインのスライド)

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 今回はすうがく徒のつどい@オンラインで講演させて頂いたのでそのスライドを記事にしようと思います。

 

 

 個人的には大学生活を締めくくる良い講演だったのではないかと思っています。

オンラインということで聴講者がどのようにきいているかわからなかったですが、質問をしてくれる方が多く、話しやすく感じました。

 

 

 今回私が学んで、みなさんに知ってほしかったのは「コホモロジーは空間で復元される」という感覚です。

 

 

 大学院でこれを直接使う研究をするかはわからないですがとても良い勉強になったのではないかと思います。また、絶対に1人ではここまで勉強することができなかったのでセミナーでお世話になった先生方をはじめ、たくさんの方々に感謝しています。

 

 

 新型コロナウイルスセミナーがオンラインになったのも大きかったかなと最近思ったりしています。普段は黒板でゼミするところを定義や主張はもうノートに書いておき、証明を始めるという形でセミナーをしていたので普段の2,3倍のスピードで進んでいたのではないかと思います。いつもなら1コマもつ予習がすぐにきれて大変だったなぁと感じています。

 

 

 大学院では自分の望んだ先生で自分の望んだ研究ができそうなのでわくわくしています。

2年間毎月更新してきましたが一旦これで区切りにしようと思います。また、何か面白いことを見つけたら更新しようと思います。

Algebraic Topology(Hatcher)を読んで

私は卒業研究のゼミで1年間かけてHatcherのAlgebraic Topologyを読んだので思ったことをまとめようと思います。

 

この本はChapterが4つとAppendixからなります。そのため、1年で全部は読めず、私はAppendixのTopology of Cell ComplexesとChapter 4の4.1と4.3とAdditional Topicsの4.Eを読みました。

 

 

まず、AppendixのTopology of Cell Complexesを途中まで読みました。

ここではCW複体の定義から始まり、その位相的な性質が書いてあります。

具体的にはまず、構成的なCW複体の定義を紹介した後にWhiteheadの定義と同値であることを示しています。

その後、分離公理と積について書いてあります。

分離公理のところではCW複体の近傍の説明が丁寧に書いてあり、CW複体の積のところでは積が上手くいかない例が挙げられています。

その後、ENRと位相空間ホモトピー型について書いてあります。しかし、ここはあまり詳しく読まずChapter 4の4.1にいってしまいました。

 

 

次に、Chapter 4の4.1を読みました。

ここでは、ホモトピー群とWhiteheadの定理と胞体近似定理とCW近似について書いてあります。

ホモトピー群の説明は図が書いてあり、わかりやすく書いてあります。

Whiteheadの定理では胞体近似定理を使うのではなくcompression lemmaを用いて証明しています。

胞体近似定理では補題に図が書いてありわかりやすくなっています。

CW近似では丁寧に説明してあり、Postnikov TowersやWhitehead Towersについても書いてあります。

 

 

次に、Chapter 4の4.3を読みました。

ここではコホモロジー群とホモトピーの関係について書いてあります。

具体的な主定理としてはG係数のn次コホモロジー群と(G,n)型のEilenberg-MacLane空間への基点を保つ連続写像ホモトピー類の群と同型だというものです。この定理を示すために、Eilenberg-MacLane spectrum(もっと一般的にΩ-spectrum)が基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論を定めることを示しています。そのためにここではループ空間をとる関手と簡約懸垂をとる関手の随伴をはじめとしたΩ-spectrumの観察から書かれており、とてもわかりやすくなっています。

Ω-spectrumが基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論を定めることの証明の議論はわかりやすいのですが、代数構造を持たない集合での完全列などの議論がされており、少し混乱するところもあるかと思います。

この先にはファイブレーションやPostnikov TowerやObstruction Theoryについて書いてありますが詳しく読まず、Additional Topicsの4.Eにいってしまいました。

 

 

最後に、Additional Topicsの4.Eを読みました。

ここでは、Brown representability theoremについて書いてあります。

4.3でΩ-spectrumが基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論を定めることを示しましたが、逆に基点付きCW複体の圏上の簡約コホモロジー論がΩ-spectrumにより表現できるというのがBrown representability theoremの主張です。

Mayer-Vietoris公理から丁寧に説明してあり、補題を示して主定理を示しています。

補題の証明がほとんどですがわかりやすく書いてあります。

 

 

卒業研究ゼミということで研究という言葉が入ってますが、勉強しかできなかったのが少し情けなかったなぁとは思います。しかし、一人ではここまで勉強を進めることが出来なかったと思うので指導して頂いた先生方にはとても感謝しています。これを直接使う研究をこれからするかはわかりませんが経験などこれらを生かしてこれから研究していこうと思います。

 

3月15日の講演の参加登録は以下からどうぞ(私の講演はBrown representability theoremについて話します)

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Introduction to Brown representability theorem

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 今回は卒研発表会のスライドを記事にしようと思います。

 

 内容は以下の先月の記事の続きとしてBrown representability theoremの発表をしました。

ibu8128.hatenablog.com

 今回は20分という短い時間で発表しなければいけなかったのでだいぶ飛ばしたスライドになっています笑

 

 3月15日にも1時間の講演するのでそこではこの内容をもう少し丁寧に話し、さらに進んだ話をしようと思います。(一般公開するつもりなのでお時間のある方はぜひご参加ください)

 

 今年は色々あったのもあり、あっという間に1年が過ぎ去ったなという感じがします。毎週拙いゼミをみていただいた先生方や友人や先輩に感謝でいっぱいです。